『人はなぜ不倫をするのか』という本を題材にして「不倫」について考察する第三弾です。
第三弾は、心理学者・福島哲夫さんの章です。
ユング心理学が専門の心理学者ですね。
この福島哲夫さんの章だけではなく、この本全体において非常に興味深かったのが、登場する各分野の専門家の全員が、「不倫」を否定していないということなんですよね。
もちろん、「不倫」をそのまま肯定しているわけではないんですが、「不倫は単純に否定できるものでもない」、という見解が至る所で語られているわけです。
心理学者・福島哲夫さんもこのように語っていました。
僕個人としては心のバランスを保ち、心の不足を補うための不倫は絶対にダメとは言い切れないような気がしているんです。
心理学者として色んな人から「不倫」や「セックスレス」に関する悩みの相談をたくさん受けているという福島さん。
リアルな不倫の実態をたくさん見ていくうちに、そのような考え方になっていったのかもしれませんね。
「心のバランスを保つ」ための不倫、「心の不足を補う」ための不倫、という言葉が非常に印象的です。
実際に出会い系サイトを使って、数多くの人妻さんたちと接してみると、「心のバランスを保つ」「心の不足を補う」為に、不倫へと踏み出す人は本当に多いと感じますしね。
また、福島さんはこのようにも語っていました。
人類学者ヘレン・フィッシャー博士が書いたベストセラー『愛はなぜ終わるのか』の中でも、「愛は4年で終わる」と書かれています。
自然の中にある動物界では、オスとメスの関係は一時的なものだそうです。自然界の営みを人間にあてはめると、出産・子育てが一段落するのが4年ということなのでしょう。
こうした観点で考えると、生物として不倫するのは、わかるような気がします。
「愛は4年で終わる」
これもよく言われている言葉ですよね。
そして4年というのは本当にリアルな数字ですよね。
4年経つと、付き合ったり結婚した当初のトキメキや高揚感、新鮮さなどはほぼ跡形もなく消滅しますよね(笑)
マンネリ化して、相手の嫌な面もよく目につくようになってきます。
そこを切り抜けて5~10年ほど経つと、関係性に安定感が出てくるというか、ずっと一緒にいるという「安心感」「当たり前感」みたいな感覚が定着してくる人も多いと思うんです。
関係性がしっかり固まって安定する前段階の4年目という鬼門。
結婚して4年目、子供が生まれてから4年目、そのようなタイミングで不倫に引き寄せられてしまう人は多いんじゃないでしょうかね。
「生物として不倫するのは、わかるような気がします。」と、福島さんは書いています。
年数も経ってくると、他の異性に目がいくのは生物、動物としては本能として当たり前のことで、現代に生きる人間はその本能を理性で必死に抑え込まないといけないということなんですね(笑)
また、福島さんはこのような興味深いことも書いていました。
独占欲と嫉妬の問題を人は超えることができずにいます。
「フリーセックスコミュニティ」はうまくいかない、ということなんですねぇ。
1人の特定のパートナーとのセックスだけじゃ満足できなくなる人は多いけど、「フリーセックスコミュニティ」は決してうまくいくわけじゃない。
特に男性は、色んな女性とセックスしたいと思っている人が多いと思うのですが、逆に相手の女性が他の男性とセックスすると、「独占欲」と「嫉妬」の感情が沸き起こって耐えられないということなんですねぇ(笑)
これはパートナーが浮気した時、激高して離婚するケースは圧倒的に女性が浮気した場合に多いということと同じですよね。
多くの男性は、「独占欲」「嫉妬」という感情が女性よりも遥かに強く、それをなかなか制御できないのでしょう。
自分の奥さんが自分以外の男とセックスしたという事実に耐えられない、それは裏返せば、自分に対する自信のなさということも言えるのではないでしょうか。
そういう意味では、決してフリーセックスという関係性ではないのですが、複数の人を愛するという新しい関係性の模索でもある「ポリアモリー」というのは興味深いと改めて感じました。
ポリアモリーというのは、パートナーに同意の上で、複数の人を愛するという考え方ですね。
パートナーが同意しているかどうか、周囲が認知しているかどうかで、浮気・不倫なのか、ポリアモリーなのかが分かれるいうことなのでしょう。
ポリアモリーという考え方は、何も単純に複数の相手を愛したりセックスしたいというわけじゃなく、自分の自然な感情を大切にし、そして「独占欲」や「嫉妬」という負の感情をいかに乗り越えていけるのか、という部分にも主眼があるようです。
福島さんの言葉で、ポリアモリーという事についても改めて考えされられました。
人(特に男)は一人の相手とだけしかセックスしてはいけないという状況になかなか耐えられないが、フリーセックスという環境にも独占欲や嫉妬が絡んで耐えきれない。
何とも身勝手な存在なのでしょうか(笑)
ほどほどの安定と刺激を、その時の気分や環境で求めてしまう、そのような存在であり続けるしかないのでしょう。